全球凍結

原生代

全球凍結とは

 地球全体が凍ってしまった事件。22億年前と6〜8億年前の2度起きた。 ※以下のデータや情景描写はNHK『地球大進化』より

22億年前の1度目の全球凍結

状況

  • 平均気温マイナス50度以下。
  • 海は1kmの深さまで凍りつく。
  • 数百万年〜数千万年にわたって続いた。

原因

  • シアノバクテリア(光合成を行うはじめての生物)が登場。
  • 地球上にはじめて大量の酸素が発生。
  • メタンと酸素が反応してメタンが消滅。
  • 温室効果がなくなり全球凍結へ。

その後

  • 南アフリカのカラハリ地方のマンガン採掘場。1度目の全球凍結のあと、二酸化マンガンが一斉に積もったと考えられている。
    • 二酸化マンガンは、酸素と結合した水に溶けない黒い物質。水に溶けていたマンガンが、全球凍結後に大量発生。
    • 2度の全球凍結の後、ほとんど0%だった酸素が1%→20%と増加。酸素があれば大量のエネルギー消費が可能。生命も→真核生物→エディアカラ生物へと進化。
  • 全球凍結時も火山活動は継続しており、ふだんは海に溶けていた二酸化炭素が増加。現在の300〜2000倍の濃度になったときに強烈な温室効果が発生。氷が溶けた後も地球の温度は上がり続け、平均気温は50度に達するように。水面温度が45度を超えるとハイパーハリケーンが発生。中心気圧300ヘクトパスカル。最大風速300メートル以上。海も大荒れに。
    • 海の底には熱水噴出口から出たりんなどの栄養塩が溜まっていた(全球凍結時は光合成を行う生物が絶滅寸前まで減少したため大量にたまっていた)。それをハイパーハリケーンがかき混ぜ、浅い海へと運んだ。大量の二酸化炭素と栄養塩により、シアノバクテリアなどの光合成生物が大量に増えた。
  • 南アフリカのマンガン採掘場では黒い台地が続いているが、南へ行くと赤に変わる。大量の酸化鉄。この大量の鉄も22億年前の全球凍結時に酸素と反応して堆積したのだという。

6〜8億年前の2度目の全球凍結

その後

  • 生物の体内でコラーゲンが大量生産されるように。
    • 我々の細胞は真核細胞。22億年前の全球凍結の後に進化した真核生物と同じしくみ。それらの真核細胞をつないでいるのがコラーゲン。
    • 酸素の増加によって増えたコラーゲンが多細胞生物を生み出した。

全球凍結の痕跡

  • 迷子石
    • 迷子石とは周辺と組成が異なる石のこと。氷河が石を運び、氷が溶けるとその場所に取り残される。
    • 迷子石があるということは、昔その場所が凍っていたという証拠。
  • 溶岩が冷えたときに磁気に反応する鉱物が向いている方向で、その場所がその時代にどの緯度にあったかがわかる。
  • 赤道近くの氷河堆積物が22億年前と6〜8億年前の年代で見つかっている。地球がすべて凍っていたということの証だとのこと(地軸移動があったという可能性はないのだろうか?)。

メモ

  • 現代は3000万年前にはじまった氷河期の最中。地球の歴史を考えると、あたたかい時代は両極に氷がなかった時代もあり、3%が氷に覆われている現代は比較的寒いほうなのだとか。温暖化によって両極の氷が溶けることを恐れる風潮がある昨今。地球規模で考えたら、温暖化ってそれほどたいしたことがないのかもしれない。
  • 氷に覆われたアイスランドに点在する温泉には微生物が生息しているそうな。全球凍結時にも、生命たちはこのように地熱によって生き延びたのだという。地熱ってすばらしい。温泉に入るときにはこの話を思い出せば、お湯の温かさをよりありがたく感じられそうだ。
  • 地球外知的生命体に向けて電波を送る施設では1980年代までは環境の安定した星に向けて電波を送っていたが、2000年代現在では環境が激変する星に向けるように指針を変更したとのこと。ずっと安定した星では進化が見込めず、全海洋蒸発や全球凍結などが起こるあらぶる星のほうが生命は高度に進化することに気づいたのだとか。刺激なくして進化なしということか。

参考資料

  • NHK「地球大進化」

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