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運命のサイコロ
夢の中に神様が出てきて言った。
「ここに2つのサイコロがある。ひとつは6面に『1・2・3・4・5・6』とふられた普通のサイコロ。もう一つは『3・3・3・4・4・4』とふられたサイコロ。目の合計は2つとも同じ21。どちらかひとつをを選んで転がすのじゃ。それで、お前の子供の運命が決まる」
なるほど。イチかバチかを狙うか、平均的な安定をとるかということか。
普通の人間ならばここで迷うところだが、おれは違った。
「神様。もうひとつサイコロを作ってくれないか? 『0・0・0・0・0・21』ってやつをさ」
「なんと! それは構わんが……、今までそんな人はおらんかったのじゃが、いいのかのう?」
「ああ。世界で初めてとは気持ちがいい。さあ、サイコロを貸してくれ」
神が瞬時に作ったサイコロを受け取ると、おれはエイヤッというかけ声と共に地面に投げつけた。
サイコロの目は……21!
どうだ! おれは勝負強さには自信があるのだ。
長椅子の上で寝ていたおれは、ドアの開く音で目を覚ました。中から飛び出してきた看護師が叫ぶ。
「おめでとうございます、世界初です! 元気な21つ子の赤ちゃんですよ!!」
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1分で読めるショートショート「運命のサイコロ」 https://www.tbook.net/ss/u/us/
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あとがき
え、3つ子や4つ子はそんなにいない? きっと皆、前者のサイコロを選んで失敗しているんでしょう。
この作品、短くて単純な内容だったのですが意外と反響が多くてビックリ。何事も考え過ぎない方がいいのかも?
(2000/6/17)
「21つ子」はどう読むのかという議論が交わされました。僕は「にじゅういちつご」を推します。間違った読み方でしょうが、なにしろ初めての経験なので、看護師も咄嗟にそう口にするのでは。
「看護婦」を「看護師」に変更しました。「看護婦」「看護士」という用語が「看護師」に統一されたのは2002年3月から。当初は「違和感がある。言葉狩りをせず、すべての呼び名を残せばいいのでは」と思っていましたが、20年経ち、「看護婦」という呼び名のほうに違和感を感じるようになってきたのでこの作品では変更しました。歴史を正確に表現するならば、2002年3月より前を舞台にした小説では「看護師」に統一することなく「看護婦」等を使い続けたほうがいいと思います。
(2021/2/25)
作品履歴
- 初出:「ショートショート・メールマガジン」第66号(2000年5月1日号)
- 2000年:ウェブ公開
- 2021/2/25:新サイトに移転。縦書きに対応。修正。あとがきを追加
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