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恋のオウム返し
◎シーン1・告白
「あの、僕……、前から君のこと好きだったんです。つき合って下さい!」
「あの……、私も……、前からあなたが好きだったの。つき合って!」
「本当? やったぁ!」
「ホントよ。やったわね!」
「……」
◎シーン2・デート
「何食べようか?」
「何食べましょうか?」
「君は何が食べたい?」
「あなたは何が食べたい?」
「僕はパスタがいいな」
「私もパスタがいいわ」
「じゃあ、そうしようか……」
「ええ、そうしましょう!」
「…………」
◎シーン3・愛の語らい
「世界で一番愛してるよ」
「私もよ」
「君なしではやっていけない」
「私もよ」
「好きだ!」
「私もよ」
「……。……嫌いだ」
「私もよ」
「……………………」
◎シーン4・ケンカ
「どうしてお前はいつもそうなんだ!」
「どうして私はいつもこうなのかしら?」
「この先どうする?」
「どうしましょう?」
「……いい加減に自分で考えたらどうなんだ! もういい! お前となんかやってられるか。お別れだ。幸せにな!!」
「幸せにね」
「……ク~ッ!!!!」
青年は歯ぎしりをしながら、部屋を出て行ってしまった。
* *
「博士、実験は成功ですね!」
「まぁ、とりあえずはな」
「何を言ってるんですか。こんなに精巧なロボットの開発に成功したのは、世界で我々が初めてですよ。もっと喜びましょう!」
「そうだな。このロボットを大量生産することによって、近年増えている無気力な人間、受身的で物を考えることをしなくなった人間たちにカツを入れられればいいのだが……」
博士はそう言うと、テストルームから出てきた青年の頭を撫でた。すると「ブウン」という音とともに、青年はグッタリと動かなくなった。
「お嬢さん、実験にご協力ありがとう。もう帰っていいよ。お礼は一万円でいいんだったかな?」
女は焦点の定まらない目を、かすかに動かしながら言った。
「……いいんでしたっけ?」
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あとがき
何事も受身でいることほどつまらないことはありません。まず実際に頭で考え、どんどん実行、そして色々なことを実現させていきましょう!
【今回のボツ話】『恋の凹凸レンズ』『恋の往復料金』『恋の横隔膜』『恋の鴬谷』『恋の大そうじ』『恋のオーストリア』『恋のオーストラリア』(最後の3つは「オウ」でないことに気づき却下。どこかで再利用されるかもしれません……)
(2000/3/15)
以下は以前に描いた漫画のネーム。
(2006/1)
この話の執筆時には自分自身、燃える男だったのだということを今思い出した。いろいろな要因があったものの、ここ数年は実行力が大幅にダウンしていたことを再認識して大いに反省。人間の感情は喜怒哀楽だけでなく、もっと数多くの項目に分類されるらしい。僕自身、これからそれらの全感情をフル動員して巻き返していこうと思う。
(2021/2/21)
作品履歴
- 初出:「ショートショート・メールマガジン」第55号(2000年2月4日号)
- 2000年:ウェブ公開
- 2006/1:以前に描いた漫画のネームを挿絵風に掲載
- 2021/2/21:新サイトに移転。縦書きに対応。修正。あとがきを追加
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